2021 年の不動産マーケットは非常に予測の難しい動きをしました。
コロナ禍にあっても、買い手の購買意欲は引き続き非常に高く推移したのに対し、市場に出まわる物件数が極端に少なくなったので、需要と供給のバランスが極端に崩れ、住宅価格がさらに大幅に引き上げられる結果となりました。
11月から1月にかけての冬のシーズンは、例年どおり、市場に出回る物件数や買い手の活動が極端に減り、結果として1月の契約締結数は大幅に減少しました。
2022 年に入ってから、住宅ローン金利は 1ヶ月間で14%上昇し、前年の一番低かった時期より 34%上回っています。過去40年間で一番高くなったインフレ上昇率を抑えるため、近々連邦準備制度理事会は、その金融政策を大幅に変更して経済に介入することを計画しています。 消費者信頼感指数は低下し、大国間の紛争による地政学的リスクも高まるなか、金融市場は新年早々から大きな波乱に見舞われています。
かたや、米国の就業率やGDP、世帯所得などの動向を示す数値は、依然好調に推移しています。ローンの金利が上昇したとはいえ、歴史的に見るとまだかなり低い位置に留まっています。株式市場も依然として好調で、新型コロナウイルスの感染者数も減少しつつあります。サンフランシスコ・ベイエリアには、世界でも最も革新的な優良企業が数多く存在しているため、とりわけ巨大な富の流入がこの地域に集中しています。
一般的に不動産はインフレに対する優れたヘッジであり、節税の恩恵も得られる長期投資は非常に有効とみなされているので、ベイエリアの富は、不動産に多く投入されています。
不動産マーケット指標は、ベイエリアのマーケットが依然として堅調であることを示しています。住宅需要は依然として非常に高いのにたいし、住宅の供給量がきわめて低い状況が続いています。今のところ、買い手は目まぐるしく乱高下する株式市場にあまり大きく反応していないようです。
また、ローン金利の上昇はむしろ、さらに金利が上昇する前に早く不動産を購入しておいた方が良いと思う買い手の購買意欲を促すことになっているかもしれません。一般的に、加熱した市場では、年が明けると買い手の方が売り手より早く市場に戻ってくるので、年初からいきなり需要が供給を大幅にうわまる傾向にあります。
結果として、一つの物件に対して複数のオファーが提出される、最終売値が提示価格を大幅に上まわる、市場に出してすぐに買い手がつくなどの現象が起こってきます。これは、さらに多くの新しい物件が市場に出回ってきても引き続き起こります。
現在のところ、ベイエリアでは引き続き上記のような加熱したマーケットの様相を呈していますが、今後もこの状況が続くかどうかは、2月からすでに始まっている、一年で一番盛況な春の販売シーズンの動向によってわかるでしょう。
(資料提供・文章執筆:秦晴子氏)
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